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森川邸田舎家
森川邸田舎家は大正から昭和にかけての名古屋の代表的な茶人、故森川如春庵こと森川勘一郎(1887~1980年)が1927(昭和2)年ごろ、葉栗村(現一宮市)にあった江戸時代初期(17世紀初頭)の庄屋の住居を名古屋の別邸(千種区菊阪町)に移築し、茶室として改修を施したものです。移築から庭作り、門構えなどの整備に相当時間を掛けた、渾身の田舎家であったと言われています。
当時は、茶人の間で古い田舎家を買い取って自分の好みの地へ移築し、田舎家の風趣を持った茶席または別荘を所有することが流行しており、如春庵も自著『田舎家の茶』において田舎家における茶の良さを述べています。如春庵が手掛けたこの田舎家は、増田鈍翁(ますだ どんおう)や高橋箒庵(たかはし そうあん)など当時の高名な数寄者(すきしゃ)たちからも高い評価を受けており、近代の文化史の上でも貴重な茶室といえます。
現在は名古屋市が1986(昭和61)年、当時計画中だった古民家テーマパークで復元展示するため遺族から寄贈を受けその後バブル崩壊や市財政の悪化でテーマパーク構想は立ち消えになり以来、倉庫で眠ったままとなってしまいました。
昭和61年(1986年)に解体されて、名古屋市の収蔵庫に保管されている部材は 400年経っているので状態の悪いものもありますが当時の雰囲気を再現する貴重な部材も当法人が調査しましたところ数多く残っていることが判明しました。
これ以降、あらたに移築先候補となった歴史の里(守山区)の基本計画で、「森川邸田舎家」はレストランやオープンカフェ、産直市などが一体となった施設の1つとして再現する予定という計画案が出されました。
昭和の時代、日本を代表する財界人がこの「森川邸田舎家」に訪れ如春庵とともにお茶を愉しんだ「田舎家」をレストラン等の施設ではなく「茶室」としての再現を望む気運が県下茶道関係者等か持ちあがり、これを受けて2014年12月1日、名古屋市議会にて名古屋市博物館敷地(日本庭園)内に移転する議事が可決されました。名古屋市博物館には森川家所有の200余点の美術品も寄贈され「森川コレクション」として管理保管されていることからも移転先決定の決め手となりました。
《上記、記事の一部は教育委員会の名古屋市教育基金
「森川邸田舎家再現基金」パンフレットより抜粋しました。》
名古屋市博物館
〒467-0806 名古屋市瑞穂区瑞穂通1-27-1
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